下咽頭がんステージ4。それでも音楽をやめない|サックス奏者・多田誠司さんのドキュメンタリー映画|9月20日富屋珈琲店で上映

cielo(シエロ)代表 大林さんと副代表松内さん

「声を失っても、音楽は続く」。そんな言葉がしっくりくる上映会が、9月20日に丸亀で開かれます。

映画のタイトルは『Still Playing My Life』〜それでも奏でている、わが人生〜。会場は丸亀の富屋珈琲店、仕掛けたのは香川出身のジャズサックス奏者・多田誠司さんの弟子で、cielo(シエロ)代表の大林さん(写真右)と副代表の松内さん(写真左)のふたりです。なぜ丸亀で届けたいのか、話を聞いてきました。

cielo(シエロ)とは
大林杏子さんと松内香織さんが2022年に立ち上げた、香川の音楽イベント企画団体。ふたりとも多田さんの生徒です。四国水族館を貸し切った「JAZZ Night」では延べ1600人を集めました。

高松出身、37年のサックス人生

丸亀市富屋町 富屋珈琲店 ドキュメンタリー映画「Still Playing My Life」
多田誠司さんは、香川・高松出身のジャズサックス奏者。東京に出て37年間、演奏活動を続けてきました。

2025年11月末にその活動へ区切りをつけ、12月に手術。下咽頭がんのステージ4という宣告でした。ショックはあったものの、まだ自分にできることはあると、戦うことを選んだそうです。

いまの指導では、打楽器やピアノで音階を示すことはできても、ニュアンスを声で伝えるのは難しくなったそう。それでも今後は、教育活動に力を入れていきたいと話しています。

多田誠司 (ただ・せいじ)
1960年、高松市生まれ。高校まで吹奏楽部でフルートを担当し、岡山大学のジャズ研究会でアルトサックスに転向。1988年に上京し、日野皓正さんのグループに10年間参加するなど第一線で活動。洗足学園音楽大学などで後進の指導にもあたる。

弟子ふたりが受けた衝撃

大林さんが多田さんの演奏を初めて聴いたときの感想は「まず音圧です。CDでは分からない音の圧がめちゃくちゃ強くて」。うるさいのではなく、音の説得力なんです。「どのシーンを切り取っても恥ずかしくないから、録音されても平気」。遊びのセッションでも手を抜かない、その姿勢に驚いたとか。

習い始めてまだ2年の自分にも「いいよ、教えるよ」。世界のトップと渡り合ってきた経験を地元に還元して、香川のジャズをグレードアップしたいという思いがあったのだとか。

松内さんは指導のすごさをこう振り返ります。10人規模のバンドでも、ひとりひとりにドンピシャの指摘が飛ぶ。「ブルーボッサ」でうまく合わなかった箇所は、8分音符をひとつ「抜いたらどう?」の一言で、パンッと合ったそうです。

「初対面はひげで怖い印象だったのに、話すとすごく温かい」。クールでチャーミング。プロ相手にも遠慮なく言葉をかける、それが優しさなんだと松内さんは話していました。

883人が支えた映画づくり

丸亀市富屋町 富屋珈琲店 クラウドファンディング
クラウドファンディングは2025年11月22日から2026年1月11日まで実施。目標400万円に対し、883人から1,139万6,330円(284%)が集まりました。

2026年4月に撮影終了、5月完成。65分の作品ながら、全国どの上映会にも多田さん本人が足を運んでいるとのこと。

クラファンの管理を多田さん本人から直接頼まれたのが大林さん。「断れないですよね」。目標額到達後、段階的に追加目標を設定する提案を断り、「ちまちま上げていくのはミミッチイから、行ける天井を目指してどんどん行きましょう」と提案したところ、監督と多田さんご本人から「それ、採用」の返事があったそうです。

なぜ、丸亀で届けたいのか|会場は富屋珈琲店

丸亀市富屋町 富屋珈琲店
全国ツアーの一環で、今年の7月19日の高松(丸亀町レッツホール)は予約で満席。時期をずらして案内できる場所が必要だったのだとか。

丸亀は、多田さんが過去にライブやセッションをしてきた縁のある土地。会場の富屋珈琲店のオーナーも多田さんのファンで、「タダさんがお困りなら、うちで上映会するのは手伝うから」と快諾してくれたそうです。副代表の松内さんは丸亀出身、大林さんも丸亀在住というのも後押しになりました。

ジャズを聴くかどうかは関係なく、諦めない気持ちや、前向きに生きるとはどういうことかを届けたい。そんな思いで、ふたりは全国の上映会にも足を運んでいます。

多田さん、本人の言葉

丸亀市富屋町 富屋珈琲店 多田誠司さん
「故郷の香川県を離れ、東京で37年間演奏活動を続けてまいりました。これからの自分の姿が皆様の生きる力になればとの思いでプロジェクトに賛同いたしました」

多田さんがクラウドファンディングに寄せたコメントです。作品の核として掲げられた言葉も、印象的でした。「プレイヤーとしての自分と引き換えにしても、決して惜しくないほど大切なものがある」

瀬戸内海で泳いで育った原風景があり、ツアー先でも瀬戸内は世界一だと言われるのがうれしいのだとか。ジャズとの出会いは、友人に借りたジョン・コルトレーンのアルバムだったそうです。


映画を観て辛い部分もあったそうですが、作品を残せて幸せだと感じている。今後は東京と香川で半々に活動しながら、音楽で恩返しをしていきたいと考えているといいます。

37年続けた演奏活動には、区切りをつけました。声でニュアンスを伝えることも、難しくなった。それでも、音楽は続いています。その姿を、丸亀で見てほしいと思います。

上映後には多田さん本人を交えたトークセッションもあります。気になった人は、前売りチケットのうちにどうぞ。

普段からジャズが流れる小さな喫茶店に、9月20日、その音を37年間鳴らし続けた人がやってきます。声を失い、サックスを置いてもなお、多田さんは音楽家であることをやめていません。その姿を残そうと、全国から883人が手を挙げました。ジャズを知らなくても構いません。何かを諦めかけている人にこそ、この65分は届くはずです。この秋、丸亀で。

注意
残席わずかです(7月27日時点で4席)。最新の空き状況は、ご予約先にお問い合わせください。

7月19日の高松(丸亀町レッツホール)は満席

丸亀市富屋町 富屋珈琲店 高松 上映会
写真(左上):多田さん、司会の鴨居さん、大林さん、ウスイヒロシ監督

SCREENING SCHEDULE

「Still Playing My Life」上映会スケジュール

全会場に多田誠司さん本人が来場します

8月

8.02
東京
渋谷ユーロライブ
8.10
札幌
くう coo
8.12
旭川
NOW’S THE TIME
8.29
岡山
ライブハウス バード
8.30
大阪
杯杯天山閣

9月

9.20
丸亀
富屋珈琲店地元開催
16:00開場/17:00上映開始 前売3,000円・当日3,500円 上映後に懇親会あり
9.21
京都
さうりる
9.22
松山
モンク
9.23
徳島
ギャラリー 花杏豆
9.27
西条
防災カフェ 結

10月

10.11
神戸
三宮ユメールラボ
10.12
岩滝
フィドル
10.24
石川
白山市松任学習センター プララ
10.25
横浜
BarBarBar

7月19日の高松 (丸亀町レッツホール)は満席で終了しました。
予約・問い合わせは cielo.music.group@gmail.com、または多田誠司オフィシャルサイトまで。

『Still Playing My Life』〜それでも奏でている、わが人生〜 丸亀上映会
日時:2026年9月20日(日) 16:00開場/17:00上映開始
会場:富屋珈琲店(香川県丸亀市富屋町7-1)
富屋珈琲店:0877-24-8651
料金:前売3,000円/当日3,500円(上映後、多田誠司さんを交えた懇親会あり)
予約:taddy.dvd.cd@gmail.comcielo.music.group@gmail.com
公式サイト:多田誠司オフィシャルサイト

※掲載内容は記事作成時点の情報です。

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