覆面@まるつーとは:全国のニュースをどこからともなく見つけてくる、正体不明の覆面コラムニスト。まるつーとの関係については「コメントを控える」としている。
最近、ドラッグストアで指定ゴミ袋が品薄になっていたのに気づいた方はいませんか。食品トレー、洗剤ボトル、フィルム。値上げの波が身近なプラスチック製品にも及んでいます。もとをたどると、遠い中東の海の話につながるらしいのです。順を追って整理してみましょう。
なぜ話題?
カギは「ナフサ」という原料です。原油からつくられる液体で、ポリエチレンやポリプロピレンといったプラスチックのもとになります。ゴミ袋、食品トレー、フィルム、洗剤ボトル。私たちが毎日触れる製品の多くがこの原料から生まれています。
そのナフサを日本は約4割を中東から直接輸入しています。国内で精製する分も元の原油を中東に頼っています。
2026年2月28日以降、米国・イスラエルによるイラン攻撃を受けて、イランがホルムズ海峡を事実上封鎖したとされます。この海は中東の石油が通る大事な出口です。ここが詰まると日本のナフサ調達に支障が出たというわけです。
つまり簡単に言うと、中東の海が混乱してプラスチックの原料が足りなくなり、ゴミ袋から食品まで連鎖して値上がりしているという話です。
覆面が気になったところ
小生が引っかかったのは、供給の見通しがコロコロ変わってきた点です。政府の説明を時系列で並べると、当初は「半年以上」。4月30日には「年を越えて供給を継続できる」。6月2日には「2027年4月(年度)以降も供給可能」。だんだん先延ばしになっています。
これは悪いことではありません。米国・アルジェリア・ペルーなど中東以外からの代替調達を進めた結果、見通しが伸びたと説明されています。ただ、見通しは状況しだいで動くもの。「もう大丈夫」と早合点しない方がよさそうです。
もうひとつ。在庫の量をめぐって、首相説明の「1.8カ月分相当」と一部記事の「約4カ月分」が食い違っています。数字が独り歩きしやすい話なので、出どころを確かめて読みたいところです。
家計への負担額もいくつか試算が出回っています。「4人家族でプラスチック関連だけ年間1.8万〜2.6万円増」といった数字もありますが、これは二次的な記事の試算で、一次情報は確認できていません。うのみは禁物。
反対側から見ると
メーカー側からは「企業努力での吸収は限界」との声があります。資材も物流も原材料も上がれば価格に反映せざるを得ないという言い分です。とくに豆腐パックのような薄利の中小メーカーほど、資材コスト増の重みは相対的に大きいとされます。
一方で、値上げがすべて中東のせいかというとそうも言い切れません。原材料高が90.9%、中東情勢が27.8%。理由は重なり合っていて、中東要因は「そのうちの一部」です。ここを混同すると話が大きくなりすぎます。
遠い海の混乱が、レジ袋一枚の値段につながっている。世界は思ったより地続きです。
覆面のひとこと
ゴミ袋が棚から消えると人はつい買いだめに走ります。でも一部自治体の在庫ゼロ報告は単一の記事に基づくもので、広く一般化できる話ではありません。慌てて買い占めると、かえって品薄を招くのが世の常。塗料用シンナーでは高額転売の例も確認され、政府が対応を指示しました。落ち着いて必要な分だけ地味ですがそれが効きます。
まとめ
- 8月の飲食料品値上げは2311品目、前年比約8割増。9月は4531品目見込み。
- 値上げ要因は原材料高90.9%、物流費65.8%、包装・資材64.0%、中東情勢27.8%。
- 日本はナフサの約4割を中東から直接輸入。ホルムズ海峡封鎖で調達に支障が生じたとされる。
- 政府は中東以外からの代替調達を進め、供給見通しを更新してきた。
中讃地区でも、ゴミ出しには自治体の指定袋が欠かせません。その一枚の原料が中東の海とつながっていると知ると、レジ袋一枚も少し違って見えてきます。



