「無理ゲーすぎる…」築50年超えのラスボス級空き家。本島の未来を学生のアイデアが救う!?

全国でも問題になっている人口減少。我が香川県でも若者の県外流出などもあって少子高齢化が進んでいます。それに関連して、地方の集落や市街地には空き家や空き地も目立ってきてます。

瀬戸内海 塩飽諸島

でも、もっと深刻なのは瀬戸内海に浮かぶ離島の状況なんです。どうしても本土よりも地元での仕事が圧倒的に少ないのもあって、若い人は年々流出しています。なので、少子高齢化や空き家問題も本土以上に深刻なんです。高齢化が進みきったと言っても過言ではなく、もはや地元民だけでは解決できないまでになっているんですよね。

目指す姿は

  • 短期の観光客より長く滞在してくれる人を増やす
  • 島外の方の協力で活気ある島の未来を作る

今回は香川大学生や高校生たちに、今回の舞台である本島の現状を知ってもらい、自分たちなら何ができるのか、株式会社コスモ不動産が主催する一日体験会に参加した様子を見てきました!

ちなみに今回は参加者にちゃんとお題が出されます

お題
一軒の空き家を見学して、有効利用できる案を出す

う〜ん、筆者たちの頭では難しいので未来ある若者に期待です!

いざ本島へ

丸亀市福島町 本島汽船乗り場

学生さんと共に筆者たちも乗り込みます。本日参加した学生さんたちはテンション高い5名で、同行したのは株式会社コスモ不動産の野津社長と社員の亀井さん、そして筆者たち2人です。

本日は猛暑ということで、年老いた筆者たちは、この時点で経費で落とすはずの往復切符の領収書をもらうのを忘れています(汗)

現地到着、移動はレンタサイクル

丸亀市本島町 レンタサイクル

今回は島内の現状等を見学したりもするため、移動は全てフェリー乗り場にあるレンタサイクルでレンタルした自転車です。電動アシストも選択できるのですが、お若い学生さんたちは元気なのでノーマルのママチャリを選択。筆者たちも同じものを選択しましたが、こちらはお財布事情で。

丸亀市本島町

乗車して5分で車両選択ミスを痛感(涙) 老体にはこたえるわい;; 比べてお若いみなさんは暑いのに満面の笑みでスイスイと進んでいました。

まずは最初の目的地、泊地区にある「旧宮本邸」へ。

ランチタイムミーティング

丸亀市本島町 旧宮本邸 ランチタイム

昼になりつつあったので、まずはここで昼食をとりながら、コスモ不動産の野津社長から本日の流れや本島の現状、課題の説明を受けます。

参加した学生さんたちは、経済学を学びながら「起業部」というサークルにも所属していて、本島の現状を知ってどうにかしようという強い想いを持っての参加なので、聞く姿勢が半端じゃなかったです。
筆者たちは提供されたお弁当を必死に食らってました。

丸亀市本島町 旧宮本邸

この場所は泊地区にある旧宮本邸で、コスモ不動産の野津社長が感じた、本島に不足している「⾷のインフラを供給したい」という思いで築100年以上の古民家を改修し、漁師さんの奥様が本島で捕れた魚を使ったお弁当やお⾷事を提供する飲食店、そして宿泊施設としても運営しています。「空き家と食」の問題を不動産業の視点でどうにかしたいという形なのでしょう。

丸亀市本島町 旧宮本邸

入り口土間からも想像できるように相当歴史のあるお屋敷でしたよ。今は梁が剥き出しになって吹き抜けになっているところも、今では珍しい吊り天井があったそうです。
今後は2階も宿泊スペースになる予定です。

旧中山邸

丸亀市本島町 旧中山邸

これが本日学生さんたちへのお題の一軒家「旧中山邸」です。野津社長、怖いんですけど・・・

無理ゲーすぎるやろ・・・

一同勇気を振り絞って中の様子を確認します!

丸亀市本島町 旧中山邸

築50年以上、空き家歴20年と、ラスボス感漂ってます。

入った途端、先頭の学生さんの驚きの声が!各所で傷みが出ていて床が抜けそうな箇所があったそうです(汗)
筆者たちも後を追ってお邪魔しましたが、畳の上に土足で上がるのも気が引けるところが日本人なんだなと。

もはや知恵の輪状態の庭など、人間が住まない期間が長くなると結構荒れるんですね。照明スイッチに丁寧に説明を書いてるのが築古を物語っていますね。

丸亀市本島町 島内散策

この建物を題材にして、どんなリノベーション、事業内容が発案されるのか楽しみです!筆者の脳は年齢と酷暑で停止してるので「取り壊し」のワードしか思い浮かびませんが・・・

島内散策

丸亀市本島町 島内散策

旧宮本邸に戻って課題をやる前に、周辺の現状や綺麗な景色も堪能しようと自転車で軽く散策します。

塩飽勤番所跡

丸亀市本島町 塩飽勤番所

江戸時代に塩飽諸島を治めた役所の跡で、現代で言うところの裁判所と役所を合わせた役割を持ってたのでしょう。
今回は本題ではないので端折りますが、信長や秀吉に家康の朱印状が展示されたりと、かなり内容が詰まったスポットでしたよ。
個人的には、大岡越前などで一度は見たことがあると思われる、悪人を捌く「白洲」と、その正面にある牢屋の存在にテンション上がりました♪ その牢屋が休憩所になっていたので、管理人さん提供のお茶菓子で休憩をとって次に移動です。

笠島重伝建地区

丸亀市本島町 重伝建築

国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、海と山に挟まれた細い路地や江戸時代後期から建てられた建物が100棟ほど残された見どころある街並みです。
綺麗な街並みで管理が行き届いてる感がありますが、この状態を維持するのにも課題がたくさんあるようです。
空き家の竹侵食や維持管理の担い手不足、特に草刈りや清掃ひとつにしても高齢化が進んでいるのもあってなかなか大変なんだそう。

ワークショップ

丸亀市本島町 旧宮本邸 ワークショップ

あの中山邸をどう生まれ変わらせるのか!? 各チーム編成をして互いに意見や今日の感想を交えながら案を出していますね。
初めは奇想天外な意見も出てたようですが、ここは起業部のみなさん、途中からは顔が真剣モードに入ってました。

提案発表!

制限時間いっぱい!発表してもらいましょう!

丸亀市本島町 旧宮本邸 ワークショップ

やはり一番初めは誰でも敬遠したくなるもので、みなさん周囲の顔色をうかがう仕草をしていると、亀井さんの案であみだくじで決めようと言うことで、発表しない周囲の大人たちからは不敵な笑みが漏れています(笑)

順番が決まったようなので、順に発表していただきましょう!目の前に野津社長がドンと構えていてさらに緊張感が増してますが(笑)

丸亀市本島町 旧宮本邸 ワークショップ

森分さん・宮田さんチーム
インバウンド客向け。島全体をひとつの商業施設に見立て、体験を束ねたパッケージを設計。
伝統工芸体験:特産品である丸亀うちわの制作体験。
手紙の投函:和紙を使い、郵便局や赤ポストから故郷へ手紙を送る体験。
流しうどん:壁をすべて取り払い、柱と屋根だけを残した空間で、敷地内の竹を利用した流しうどん。
釣り体験とバーベキュー:夕食を自分で釣ることを兼ねた釣り体験。宿とのコラボで釣った魚を提供。
コースター作り:コースター作りの体験、晩御飯のビールに使用するなど。

今回参加した起業部の中で最年長となる森分さんと、唯一の高校生として参加した宮田さんチームです。移動中や思考中では「ナイトプール造るんや〜」など奇想天外な意見がかなり飛び出してましたが、終わってみればしっかりとまとめてきましたね。予算、回収面についてもかなりリアルな数値を提示されていました。
個人的にはナイトプールありなのでは!?と(笑)

丸亀市本島町 旧宮本邸 ワークショップ

平戸さん・片山さんチーム
おばあちゃん家をテーマにした宿泊施設
おばあちゃん家を再現した空間:樽でスイカを冷やす、ラムネを置く、3DSやWiiなどのゲーム機、昔ながらの家具などを設置。
おばあちゃんとの交流:おばあちゃんに施設に一緒に住んでもらい、料理を作る様子を見学したり、教わることで、外国人観光客に日本らしさを感じてもらう。
地域課題の解決と体験:島の手伝いをすることで一食無料にするなど、地域のお手伝い問題も解決できる仕組みを組み込む。(草刈り1時間=ごはん1食など)
長期滞在者向けインフラ整備:Wi-Fi、電気など、受け入れ側の準備が必要。島内の生活で役にたつ、島の資料や地図などをまとめた本棚の設置、資料集作成。

起業部の女性チームです。草刈りは地味に思えても島民の方からしたらかなり重労働なんですよね。温かみのある内容で、地元と島外の方の交流を大切にしたプランになってました。

丸亀市本島町 旧宮本邸 ワークショップ

羽野さんチーム
島全体をスタジオ化 / 交流の場に
島全体をスタジオ化:歴史的建造物やビーチなどをスタジオの本拠地にして、誰でも撮影できる環境に。作業スペースや液晶台などで、撮影した動画を発信し、集客して活性化。
歴史コンセプトの民泊:水軍・海軍など、歴史好き向けの「隠れ家」コンセプトの民泊。甲冑や船に関する展示・小道具を置いて雰囲気を作り。
物々交換の場:島外の方と島内の方で“物々交換”ができるスペース。持ってきた商品と、島のおばあちゃんが作った野菜など。

独特のオーラを発した羽野さん一人チームです。すごく落ち着いた雰囲気で理論派と受け止めていたのですが、発表後に先輩の森分さんから普段はおふざけキャラとバラされてました(笑)
島内は本土から離れていて閉鎖気味になるので、レンタル物販スペースを設けて物々交換するのは、島外の方と交流が増えるチャンスだと思いました。

丸亀市本島町 旧宮本邸 ワークショップ

発表の合間に野津社長、亀井さんからアドバイスや鋭い意見が、参加者からも賛同や時折ツッコミも交じりながらかなり内容の濃い議論が展開されていました。
まだまだ本島の課題はたくさんありますが、コスモ不動産の野津社長は、島に残る寺社仏閣や芝居小屋などの歴史文化も大切に守りながら、増え続ける空き家や空き地に新しい機能も加えて活性化し、島外の人間と島民が協力して本島の良さを受け継いでいけるよう挑戦を続けていきたいと誓っていました。

余談ですが、帰りのフェリーが到着した時に、例の領収書をもらっていないことを思い出して窓口にダッシュして無事ゲットできました。

本島の人口減少、空き家問題を学生さんたちと学ぶ
主催:株式会社コスモ不動産
開催地:香川県丸亀市本島町全土
関連リンク:株式会社コスモ不動産 公式サイト

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