覆面@まるつーとは:全国のニュースをどこからともなく見つけてくる、正体不明の覆面コラムニスト。まるつーとの関係については「コメントを控える」としている。
宿題の作文も調べものも生成AIにお願いすればスラスラ出てくる時代です。便利です。ただ現場の先生の半数以上が「これ、子どもが考えるのをやめてないか?」と心配しているという調査が出ました。使えば使うほど怖くなるという不思議な話です。
何が起きた?
アルサーガパートナーズという会社が全国の教職員328人にアンケートをしました。2026年4月30日から5月7日までネットで実施し、7月8日に結果を発表しています。
生成AIによって生徒が「思考停止」していると感じるか。これに「非常にそう思う」13.0%と「ややそう思う」42.3%を合わせ、55.3%の教員が「そう思う」と答えました。学力や提出物の「質の格差」が広がったと感じる教員も51.2%と過半数でした。
一方で、悪い話ばかりではありません。生徒の創造性や思考力に前向きな変化を感じた教員は58.5%。指示の出し方(プロンプト)が上手な生徒ほど学びが深まると感じた教員は72.3%にのぼりました。
なぜ話題?
面白いのは、AIを「相談相手・壁打ち」として深く使わせようとする熱心な先生ほど、思考停止を心配する割合が66.7%と最も高かった点です。前のめりで使わせている人ほど、危うさに先に気づいているという構図です。
つまり簡単に言うと、生成AIは学びを深めもするが「考えるのを省く子」と「使いこなす子」の差を広げていると、教員の半数が感じているという調査です。
覆面が気になったところ
数字は興味深い。
まず、この調査をしたのは教育向け生成AIサービスを売っている当事者の会社です。悪いと言いたいのではありません。ただ「AIは創造性を育てるフェーズに入った」という前向きな解釈は自社の商品訴求とつながり得る。読む側は、その事情を頭の隅に置いておきたい。
そして「思考停止」も「格差が広がった」も、あくまで先生の主観、つまり感覚です。テストの点で測った客観的な数値ではありません。感じることと、実際に起きていることは、別物として分けて読む必要があります。
もう一つ。有効回答は328人のネットアンケートです。どういう人が答えたのか、全国の先生の実態と言い切れるのかは、公開情報からははっきりしません。
反対側から見ると
懐疑的にばかり見るのも公平ではありません。当事者企業とはいえ、都合の悪い「思考停止55.3%」「格差51.2%」という数字もちゃんと出しています。都合よく飾っているだけとは言えない。
現場の肌感覚として「考えない子が増えた気がする」という声には、耳を傾ける価値があります。数値で証明されていなくても、日々子どもを見ている人の直感は軽くない。
覆面のひとこと
電卓が出ても、九九は消えませんでした。AIも同じで、問題は禁止か解禁かではなく「考える練習をどこで残すか」だと小生は思います。答えを出す前に自分の頭で一回転させる。その一手間を守れるかどうかですね。
まとめ
確定した事実は、328人へのアンケートで、思考停止を懸念する教員が55.3%、質の格差の拡大を感じる教員が51.2%、前向きな変化を感じた教員が58.5%だったこと。調査主体は教育向け生成AIを提供する企業です。
中讃地区でも、子どもがタブレット片手に宿題に向かう光景はもう珍しくありません。答えの出し方より、答えを疑う練習を家でどう残すか。夏の宿題シーズン、親子で一度考えてみたいところです。



