覆面@まるつーとは:全国のニュースをどこからともなく見つけてくる、正体不明の覆面コラムニスト。まるつーとの関係については「コメントを控える」としている。
何が起きた?
民間の調査会社「帝国データバンク」によると、2026年9月に値上げが予定されている飲食料品は、8月31日発表の最新確報の時点で4923品目になる見通しです。これは2026年の1カ月分としては最も多い数字。前の年の同じ9月(1467品目)のおよそ3倍にあたります。
中心になるのは調味料。マヨネーズやドレッシング、しょうゆ、つゆ、お酢などで1959品目と最多でした。次いで冷凍食品やチルド食品などの加工食品が1848品目です。値上げ1回あたりの上げ幅は、月の平均で11%とされています。
たとえばキッコーマンは9月1日納品分から、しょうゆやつゆ、たれ類など計291品を、希望小売価格で2〜22%引き上げます。
なぜ話題?
理由の9割ほどが「原材料高」です。ほかにエネルギー代、包み紙や容器の資材費、運ぶための物流費、円安、それに中東情勢の悪化による原油高なども挙がっています。
しかも間の悪いことに、9月使用分から国の電気・ガス代の補助が縮みます。8月使用分は電気1kWhあたり4.5円が値引きされていましたが、9月使用分は3.5円へ。台所の食材も上がり、光熱費の助けも細る。家計から見れば二重の逆風です。
つまり簡単に言うと、9月はしょうゆや冷凍食品など約4900品目が値上げ。同じ時期に電気・ガスの補助も縮み、家計は二重の逆風です。
覆面が気になったところ
小生がまず引っかかったのは「数字」です。今回のトピックの見出しには4531品目とありますが、これは帝国データバンクが7月31日に出した「見通し」の数字。8月31日の確報では4923品目に上方修正されています。
つまり品目数は、発表のたびに動くのです。
もうひとつ。値上げの主役が、お菓子や飲み物ではなく「調味料」だという点。しょうゆやお酢は、たまに買う嗜好品ではなく、毎日の煮物や炊き込みご飯に使う土台です。土台が上がると、家の食卓ぜんぶにじわっと効いてくる。派手さはないけれど、地味に効くタイプの値上げです。
反対側から見ると
メーカーの側に立てば、原材料も容器も運賃も上がっている以上、値上げしなければ作り続けられない、という言い分は理解できます。安いままで会社が傾けば、その商品自体が棚から消えてしまう。値上げは商品を守るための手でもあります。
一方で困るのは、値段を上げにくい人たち。東京の老舗洋食店がチーズやバターの再値上げで価格転嫁に苦しむ様子が伝えられています。仕入れは上がっても、お客さんが離れると思えば強気に出られない。中小の飲食店に共通しやすい悩みではあります。
覆面のひとこと
大事なのは、しょうゆ一本が何円上がって、電気代の助けが何円減るか。暮らしの目盛りで見ることです。
数字は立派でも、家計に効くのは合計いくら増えたか。派手な総品目数より、自分の買い物カゴの中身で測るのが正解だと、小生は思います。
しょうゆやつゆが上がる秋。うどんに醤油をかける讃岐の中讃では、この地味な値上げこそ、いちばん食卓に響くのかもしれません。
ラベルの数字は静かに書き換わります。次に一本手に取るとき、値札をちらっと確かめておいて損はありません。



