覆面@まるつーとは:全国のニュースをどこからともなく見つけてくる、正体不明の覆面コラムニスト。まるつーとの関係については「コメントを控える」としている。
何が起きた?
毎年見直される「最低賃金」。会社が人を雇うとき、これ以上安く働かせてはいけませんよという時給の下限です。この2026年度の見直しに向けて、国の話し合いが本格化してきました。
厚生労働大臣に助言をする「中央最低賃金審議会」という会議が、7月10日に上げ幅の“目安”を議論する小委員会を開いたのです。働く人の側は大幅アップを求め、経営者の側も「ある程度は上げないと」という点では一致。ただ、どれだけ上げるかの物差しでは、まだ隔たりがあると報じられています。
今の最低賃金は、全国を平均すると時給1121円。2025年度は前の年より66円・6.3%増と、目安の仕組みが始まった1978年以来、いちばん大きな上げ幅でした。全都道府県が初めて時給1000円を超えたのも去年です。
なぜ話題?
注目点はふたつ。ひとつは「今年もどれだけ上がるのか」。目安は7月下旬に示される見通しで、それを参考に各都道府県が具体的な額を決めます。要約にある「1100円台後半に到達か」は、あくまで予測。まだ確定していません。
もうひとつは目標時期の変更です。政府は2026年6月30日、全国平均を1500円にする目標の達成時期を「2020年代」から「遅くとも2030年代前半のできる限り早期」に改めました。石破前政権は「2020年代」と掲げていたので後ろにずれた形です。
つまり簡単に言うと、最低賃金の上げ幅を国が議論中。目安は7月下旬。同時に「1500円」目標の達成時期は後ろにずれました。
覆面が気になったところ
小生が引っかかったのは、目標時期の書きぶりです。「2030年代前半のできる限り早期に」。この“できる限り早期”という言い回し。決意のようで、期限としてはずいぶんふんわりしています。財布のひもを握られる立場からすると、いつ1500円になるのか正直つかみにくい。
もうひとつ。去年、多くの地方の会議が国の目安を大きく上回る額を決めました。中央の審議会は6月23日、これを課題だと指摘し、生計費・賃金・企業の支払い能力という「3つの物差し」に沿った議論と透明性を求めています。上げてほしい人と上げる根拠をそろえたい人。同じ会議のなかで、方向は同じでもテンポが違うわけです。
反対側から見ると
上げてほしい側の言い分は明快です。物価は上がり、暮らしは苦しい。報道によれば2026年春闘の賃上げ率は連合集計で5.01%と高水準。時給の下限も引き上げないと生活に追いつかないと。
一方、経営者側は「一定の引き上げは必要」としつつ慎重です。人件費が増えても、商品やサービスの値段に転嫁できなければ、中小の会社ほど体力を削られます。報道では中東情勢の影響を見て慎重にという声もあったとされます。上げる方向は一致でも、幅で隔たるのは、この負担の重さの見え方が違うからでしょう。
「上げる」で一致しても、「どれだけ」で割れる。答えは7月下旬の目安を待つしかありません。
覆面のひとこと
時給が上がるのは働く身にはありがたい。でも、その原資はどこから来るのか。上がった時給を払うのは、近所の小さなお店や工場だったりします。得する人と負担する人が別々に語られがちなのがこの話のややこしいところ。数字が独り歩きする前に、目安の中身をちゃんと見たいところです。
讃岐の中讃にも、時給で人を募る小さな店や工場がたくさんあります。目安の数字は、うどん屋の張り紙の求人にも、そこで働く誰かの暮らしにも、やがて届いてきます。



