創業75年。多度津の風景だった老舗のせんべい屋さん「柳原菓子店」が年内で閉店へ

多度津町 柳原菓子店

多度津町にある老舗のせんべい屋さん「柳原菓子店」が年内で閉店することがわかりました。

地図だとこちら↓↓↓

2025年12月18日(木)の様子

多度津町 柳原菓子店

多度津町を歩けば、どこか懐かしい佇まいで迎えてくれる「柳原菓子店」。創業から75年、この地でずっとおせんべいを焼き続けてきた老舗です。

店内の様子

多度津町 柳原菓子店 店内の様子

お店に一歩足を踏み入れると、そこには昭和の時代から大きく変わっていない使い込まれたブリキ製のガラスケースが並び、その中には色とりどりの、ならぬ「色とりどりの形」をしたおせんべいがずらり!

こちらのお店では、今では珍しくなった100グラム単位からの「量り売り」というスタイルを貫いてきました。2代目店主さんが、一枚一枚、心を込めて手焼きしたせんべいは、まさに職人技そのものでした。

優しい甘さが広がる「玉子煎餅」の世界

多度津町 柳原菓子店 店内の様子

「せんべい」と聞くと、パリッとしたお醤油味の米菓を思い浮かべる方も多いかもしれません。でも、柳原菓子店のおせんべいは、小麦粉にたっぷりの玉子を加えて作る、西日本ではおなじみの「玉子煎餅」の専門店なんです。

全部で8種類あって、サクサクと軽い食感のもの、しっかりとした歯ごたえがあるもの、形も丸かったり、四角かったり・・・と、どれを食べても、どこかホッとする優しい甘さが口いっぱいに広がります。個包装されている「一太郎ヤーイせんべい」は、箱に詰めてもらうとお土産や贈り物にもぴったりでした。

看板に刻まれた「さぬき名物一太郎せんべい」

多度津町 柳原菓子店

お店の大きな茶色の看板には、「さぬき名物 一太郎せんべい」の文字が躍っています。この名前、多度津にゆかりのある方ならピンとくるかもしれませんね。

「一太郎やぁい」とは?
日露戦争時、多度津港から出征する息子・一太郎を、老いた母親が「天子様によく御奉公するんだよ!家のことは心配するな!」と必死に呼びかけ、見送ったというエピソード。教科書にも掲載され、多度津の桃陵公園には今もその親子の銅像が立っています。

郷土の歴史を名前に冠したこのおせんべいは、今もなお地元の人たちから親しまれています。

唯一無二の「面せんべい」ともお別れ

多度津町 柳原菓子店

柳原菓子店の名物といえば、初代の頃から受け継がれてきた「面(めん)せんべい」を忘れてはいけません。

般若、おかめ、狐といった様々なお面が浮かび上がるそのビジュアルは、他店では絶対に見ることができない、少しシュールで芸術的な一品。このおせんべいがもう見られなくなってしまうのかと思うと、本当に寂しい気持ちになりますね。

「並んでいる分がなくなったら終わり」

多度津町 柳原菓子店

12月中旬、お店を訪ねると、すでに売り切れの商品が目立ち始めていました。店主の柳原さんにお話を伺ったところ、 「今並んでいる分がなくなったら閉店するので、年内は持たないかもしれない」 とのこと!この閉店の知らせを聞きつけたファンの方々が、最後の一枚を求めて次々とお店に足を運んでいるそうです。

75年という長い年月、私たちに美味しいおせんべいと笑顔を届けてくれた柳原菓子店さん。多度津の町からまたひとつ、大切な灯が消えてしまいますが、その味の記憶はきっと皆さんの心に残り続けていくのではないでしょうか。

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◇ 柳原菓子店
住所:〒764-0014 香川県仲多度郡多度津町本通1丁目2−22
営業時間:9:00〜18:00
定休日:日曜日
駐車場:なし
※営業時間・内容等は記事作成当時のものです。

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