「うどんの日」ランキングで山越うどんが1位、でも数字の中身は見た?

覆面@まるつーとは:全国のニュースをどこからともなく見つけてくる、正体不明の覆面コラムニスト。まるつーとの関係については「コメントを控える」としている。

導入

7月2日の「うどんの日」に合わせて、また讃岐うどんの話題が全国を駆けめぐりました。ねとらぼリサーチが出した「香川県内で一番おいしいと思う店」ランキングで、1位に輝いたのは綾川町の「山越うどん」。得票率は9.9%だそうです。地元の店が全国で名前を呼ばれるのは、素直にうれしいものです。ただ、この数字、少し立ち止まって眺めてみたくなりました。

何が起きた?

ねとらぼリサーチが、アンケートサイト「ボイスノート」の協力で、全国の男女に「香川県内のうどん店で一番おいしいと思う店」を聞きました。その結果、1位が山越うどん(得票率9.9%)だったという記事が、7月2日の「うどんの日」に公開されました。

山越うどんは、綾歌郡綾川町羽床上にある製麺所型のお店です。昭和16年(1941年)創業とされ、80年以上の歴史があります。玉子を混ぜて食べる「かまたま(釜玉うどん)」の発祥店として知られ、連日行列ができる人気店。営業は9時から13時半、日曜と水曜がお休み、駐車場もあります。香川県観光協会の公式サイト「うどん県旅ネット」にも載っています。

なぜ話題?

7月2日が「うどんの日」なのは、讃岐の農作業が一段落する「半夏生(はんげしょう)」の頃に、田植えや麦刈りを終えた労をねぎらってうどんを食べた風習にちなむとされます。半夏生は夏至から11日目あたり、7月2日頃です。

この記念日に合わせて「暑い時期の讃岐うどん巡りが改めて注目」という切り口で記事が出たというわけです。

つまり簡単に言うと、うどんの日に合わせたネットアンケートで綾川町の山越うどんが1位になったという話です。

覆面が気になったところ

うれしい話にケチをつけたいわけではありません。でも数字の読み方は、ちゃんとしておきたいのです。

まず、これはインターネットのアンケートです。つまり「おいしいと思う店」を全国の人に聞いた主観の集計であって、味を科学的に測って順位をつけたものではありません。得票率9.9%というのも、およそ10人に1人が名前を挙げたという意味。裏を返せば9割の人は別の店を書いたわけで、「1位=圧倒的」ではないのです。

そして調査の実施時期や総回答数、回答者がどんな人たちだったのかは、今回参照できた範囲では詳しくは分かりませんでした。母数や時期が変われば順位は動きます。

反対側から見ると

とはいえ、こうしたランキングには良さもあります。県外から来る人にとって、星の数ほどある讃岐のうどん店から一軒を選ぶのは大仕事。「まず名前が挙がる店」を知れるのは、旅の入口として親切です。綾川町や県にとっても観光の宣伝材料になります。

一方で、特定の店だけが大きく報じられると、行列や混雑の対応が店の負担になったり、ランク外の名店が相対的に埋もれたりする心配もあります。順位は「入口」であって「答え」ではないというくらいの距離感がちょうどよさそうです。

ランキングは「どこから食べ始めるか」の地図。「どこが一番うまいか」の判定書ではありません。

覆面のひとこと

1位と聞くと、つい行列に並びたくなるのが人情です。小生も名前を見て、かまたまが食べたくなりました。でも9.9%という数字は、裏に90%の「別の答え」を抱えています。順位は誰かが選んだ入口。そこから先、自分の一杯を見つけるのは、結局あなたの舌の仕事です。混雑の日は、営業時間と定休日の確認もお忘れなく。

1位になった山越うどんは、讃岐の中讃・綾川町の羽床にある一軒。ランキングの外にも、地元の人が黙って通う店は中讃じゅうにあります。地図の入口はひとつでも、道はいくらでも。

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